運命の分かれ道

第1話 1/2

「バナビさん!バナビさん!早く来てください!」

1階で食事の準備をしていたバナビはアリエの呼び出しに、自分が待っていたことが叶えられたことが分かった。予想通り長い間意識を失っていたゾナトの意識が戻っていた。

「ゾナト…」

「バナビ、心配かけてすまなかった。何よりあなたが無事でよかった…」

「これからそんな危ないことはしないでください。ゾナト、私…あなたと二度と会えなくなったかと…」

それ以上話を続けられず、バナビは泣き始めた。
隣でその光景を見ていたアリエも少し驚いた様子だった。
鉄の女性だと思っていたバナビが涙を流すなんて!
ゾナトが倒れた後、カエールやセルフに冷静に指示を出していた彼女だったが、ゾナトの意識が戻ったことが分かってか初めて涙を流しているのだ。

「あなたを残して一人で行くわけないだろうが。もう泣かないで。アリエも驚いたじゃないか」

アリエは手を振りながら話した。

「いいえ、私のことは気にしないでください。
軍長の意識が戻って本当に良かったです」

「お陰さま。妻の面倒を見てくれてありがとう。それより、カエールはどこだ?」


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