運命の分かれ道

第6話 1/2/3

エリアル伯爵はまた椅子に腰をかけ、フロイオンの手を握った。

「違います。ジュリエットが亡くなったのはフロイオン様のせいではありません。
娘の運命だったと思います。ジュリエットに授けられた時間がそこまでだったわけです」

「しかし…私に会わなかったら…ジュリエットは今も生きていたはずです」

石像のように何の反応も見せなかった、フロイオンの目から波が流れてきた。

「フロイオン・アルコン様と出会えずに生きていて何の意味があるでしょうか?
ジュリエットはフロイオン・アルコン様と出会って初めて幸せになり、輝くことが出来ました」

フロイオンはようやく声を出して泣き始めた。

「ジュリエットが…ジュリエットに会いたいです。悲しくて胸がいたいです…」

エリアル伯爵はフロイオンの背中を優しくなでながら慰めた。

「これ以上悲しむとジュリエットも悲しくなります。どうかもう悲しまないでください」

伯爵に慰められながら嗚咽していたフロイオンは、力を使いきったのようにそのまま眠ってしまった。
伯爵は、タイミングよく部屋に戻ってきたグベルマンとジオバンニにフロイオンを預けた。
そして死んだ娘のスタッフをフロイオンの手元において帰った。
翌日の朝になってようやく目がさめたフロイオンは、自分の手元に置かれているスタッフを見てジュリエットのものだと分かったのか、スタッフを抱きしめた。

「ライ」

フロイオンが名前を呼ぶとどこからかライが現れた。

「ちょっと旅に出ます」

「何処に行きますか?」

「ジュリエットが行きたかった場所があります。
ラウケ神殿修道院…」


・次の話に進む
・前の節に戻る
・前の話に戻る
・前の章に戻る
・目次へ戻る