第二章 神を失った世界

第3話 1/2/3

しかしロビナは外交の仕事にだけには優れた人材だった。
前代王ロシュ・リオナンの庶子で、現国王カノス・リオナンの腹違いの弟、という困難な身分のフロンに外交の仕事を薦めたのもロビナだった。

人の噂を言いたがる連中は、ロビナが権力欲しさで国王の弟のフロンを利用しようとしているという噂をしていたが、フロンはロビナに感謝していた。
ロビナのおかげで外交の仕事が任せられ、その仕事を通じて自分の価値を証明できずにいたら延命する事ができなかったかもしれない。

国王のカノス・リオナンは野心に満ちた男だった。
彼は同じ父親の血が流れる唯一の人物で、自分の王権に脅威になるかもしれない腹違いの弟など、いつでも殺せる者だった。
ジャイアントの国家ドラットとの今回の交渉は、自らの存在価値を証明する手段としても相当重大な任務だった。
しかし、交渉は思ったように進まなかった。

こっちの提案のすぐ応えると予想していたジャイアントの国王レプトラバは意外と慎重で気長い人だった。
1年も引きずっているレプトラバの態度にこっちの方がじれったくなってしょうがない。
色んなことを考えていたうち、眠ってしまったようだった。
フロンは夢を見ながらもそれが夢だって気付いている。
夢と現実の間くらいで朦朧な状態でいた。
そして昔のことを思い出していた。

厚いカーテンで隠れた窓からはほんの少しの月明かりさえも入ってこない。
フロンは枕に頭を埋めて静かに息をしていた。
ドアの取っ手を触る金属の音が聞こえてきた。
開いたドアの隙間から細長い光が部屋の床を横切っている。
幼い少年のフロンは息もできないぐらい震えていた。
いま部屋を歩いて近づいてくる者からは脅威や殺気が漂っている。


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