第四章 隠された真実

第1話 1/2/3

真っ白のマントを被った5人が輪を作って立っていた。
そしてその輪の中には縄に縛られた1人の男が土下座をした態勢で震えている。

男は必死でその輪の中から抜け出そうとしていたが、周りの5人が彼の肩を押していて、抜け出すことができなかった。

男の正面に立っている者は彼の頭に左手を置き、ワンドを握った右手で空を指しながら何かを叫んでいた。
その声は離れた場所に隠れているトリアンの耳までにはっきり聞こえてきた。

「我々のマレアよ、この罪人が自分の罪を死で償い、我々は彼にお許しを下すことを願い、願わくは神の手で我々をお救いくだされ!」

生まれて初めて聞くその祈りが終わるや否や、悲鳴が森の中に響いた。
縛られていた男は倒れ、その周りに立っていた5人の白いマントには赤い花びらのように、血が飛んだ。

その中の1人の男が縛られていた男の死を確認し、5人は頭や顔まで被っていたマントを脱いだ。
彼らの顔を見たトリアンは息ができないほど驚いた。彼らはトリアンと同じ、エルフだった。
あの噂は本当だったのか。

最近漂う狂信者についての噂をトリアンは信じなかった。
噂というのは真実より膨らむものだと彼女は思っている。

それにいくら混乱な時代だといっても誰でもないエルフが同じエルフを虐殺するといったことをするはずがないと信じていた。

そのため、女王のシルラ・マヨルがトリアンと含めた魔法師達にその噂について調べることを命じたとき、トリアンは大したことでもないと思った。
トリアンと3人の魔法師は担当地域を分け、女神の泉やその付近の地域をトリアンが調査することになった。


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