第四章 隠された真実

第14話 1/2/3/4/5/6

「そっちはもう大丈夫かね?」

フロイオンを労わっていたグスタフが、タスカーにそっと聞く。

「ええ、お蔭様で… ありがとうございます。
お世話になりました」

「なに、当然のことをしただけよ。
こっちのダークエルフの調子も結構良くなったな。
明日の夜くらいには目を覚ますだろうね。
俺がこの二人を見ているから、あんたはあの若者と一緒に下でお茶でも飲んでな」

グスタフの言葉にタスカーはもう一度礼を言い、エドウィンと一緒に下に降りた。
ペチカでは小さいやかんの湯が沸いていた。

タスカーはペチカの上に置いてあった厚い手袋を付けてやかんを取り出し、テーブルの上のカップに液体を注いだ。
やかんの中にはただのお湯ではなく、茶葉も入っていたのかカップからお茶の香りが広まる。
隣で自分を見つめているエドウィンにカップを渡したタスカーは他のカップに自分用のお茶をいれてやかんを元の位置に戻した。

「何であの人を助けたのか気になるの?」

タスカーはテーブルの横に座り、エドウィンにも座るよう誘った。
もじもじしていたエドウィンが隣に座ると、タスカーはお茶を一口飲んでから語り始める。

「ハーフリングにはリマという国があるけど、他の種族のように定着するという考えはないのよ。
私たちはもともと遊牧民だからね。
各地を漂っていた私たちが、首都を決め、街を作って定着し始めたのはそんなに昔のことでもないの。
だからか、いまだに遊牧民だったときの価値観が残っている。
遊牧民にとって重要なのは何なのか、知ってる?」


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