第四章 隠された真実

第15話 1/2/3/4

何もかもを忘れ
全ての記憶を消したまえ
心臓に残りしは
神への忠誠と
万象への憎しみ
彼等には死を与え
神には服するべし

天使たちのスタッフから出た光が一つになって絡み合い、巨大な魔法陣となってドラゴンたちを襲った。
ドラゴンたちの叫び声が森の中を走る。
苦痛と痛みに染まった彼らの叫び声にキッシュは息も出来なかった。
幼いドラゴンたちを襲った光が消え、彼らの鳴き声もだんだんなくなる。

幼いドラゴンたちは変わっていた。
誇り高き彼らの瞳は肉欲に塗れ、爪と歯は大きく鋭くなっていた。
彼らの悲しく響いた鳴き声さえも、他のモンスターの鳴き声と同じになってしまった。
天使たちが幼いドラゴンたちを神のモンスターに変えてしまったのである。

キッシュの話を聞いたハエムは驚きと怒りで全身が震えていた。

「偉大なるドラゴンの末裔キッシュよ、
…それは真か?
かの者たちは真のドラゴンであったのか?」

重く頷いたキッシュは悲しげに答えた。

「もはやドラゴンではない。
彼らは天使たちの言った通り、ドレイクにすぎぬ」

二人は口を開かなかった。
長い沈黙を終わらせたのはハエムだった。

「だから貴公が変わったのだな…
偉大なるドラゴンの末裔であるデカンの紀元となるドラゴンたちが神によってモンスターになってしまう光景を見てしまったから…
貴公の言葉通り、それは偉大なるドラゴンの末裔デカンたちが想像もできぬ最悪のものだったのであろう…」


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