第八章 夢へと繋がる鍵

第15話 1/2/3/4

タスカはエミルの最後の日記を閉じて、窓の外を見ながら考えた。
エミルを神の存在として信じたくて「ラウケ神団」に入った。
多くの人々が神様へ慈悲を求める祈りをあげると、いつかは応えてくれるとそれで神様の存在も確認できると信じて神団の活動に参加したのだ。
人々の祈りに神様が応えてくれるのを確認できず、永遠の眠りに落ちてしまったが、
エミルの魂が神へ近づいて心の中の混乱も収まっていると思ったら、悲しい感情も少し減ったような気がした。

エミルの日記には情報収集家たちが集めた情報より、ラウケ神団について詳しく書いてあった。
ラウケ神団はデル・ラゴスの昔の予言者だったヘルラックの予言書に基づいて、ヘルラックの弟子である‘エリシャ’が自分の種族であるヒューマンに神の真実を伝える為に創立したと書いてあった。
エミルはまだ教授の‘エリシャ’とはあったことがないが、彼と出会えることを楽しみにしていた。
‘エリシャ’はエルフ達の首都ヴェーナからライネル川を渡り南へ行くと海辺にあるラウケ神殿修道院にいるそうだ。

ラウケ神殿修道院は‘パビオ’というエルフの建築家が自分の財産で建てたので、
エルフ様式になっているそうだ。
ラウケ神殿修道院には‘世の中の何より真実が一番美しい’という彼らの思念通り、
ほとんどの部屋が書斎になっているそうだ。
タスカはエミルの日記を読んで息子が‘ラウケ神団の人’になった理由が分かったが、
息子が信じていた通り‘ラウケ神団’が神の真実を知っていたのかを確かめたかった。


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