第一章 救援の重さ

第11話 1/2/3

堅い大地より堅固な存在、全ジャイアントを包む偉大な山、それがゲイルだ。
小さい頃から繰り返し聞いてきた話。その話を堅く信じていた時もあった。

しかし今はゲイルの神像の前に立っても平穏な気分にはなれない。果たしてこの都市を守りきれるだろうか。

エトンはジャイアントが最初にロハン大陸の地を踏んだ場所に建てられた都市であり、首都であり、聖地でもある。

そしてジャイアントの手で守るべき場所。
しかし、そういった堅い決心や、初めて戦場に立った頃の意気込みは今のナトゥーには残っていない。

「こんな時間に何を?」

月の光や神像の影が織り成す空間で、闇に体を半分隠し話しかける者がいた。
その人影は一歩近づいてきて、頭から被っていたマントを外した。
明るい月の光でその顔が明らかに見えた。

「フロイオン・アルコン卿…」

ナトゥーは軽く握った拳を胸に当て敬礼し、会釈をしながら言った。

「アルコン卿こそこんな遅い時間まで何を?護衛兵を従えもせずに。」

「ドラットのエトン市は城内での散歩も危険なんですか」

冗談交じりのダークエルフの話にナトゥーの眉がぴくりと動いた。
フロンはそれは違うと、掌を見せながら手を振った。

「冗談ですよ、やはりジャイアントは自国に対しての自負心が相当強いみたいですね。」

「どの種族だって自分の種族や国に対しての自負心は持っていますよ、フロイオン卿」

「さあ…少なくともジャイアントはそうだということですね。」

フロンは硬く強張った顔つきで答え、ナトゥーの返答を待たずに話題を変えた。


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