狂気を運ぶ暴雨

第4話 1/2

「エドウィン、お前が怒るのも分かる。
しかし、このような事実が一般に広がると、混沌の時代が来るだけだ。
一日で一つの国を滅ぼす方法が分かるか?
強大なモンスター?他国からの攻撃?違う。それは人々の絶望だ。
希望を無くし、絶望に陥ったら、全てが崩れてしまう。
だから、隠しているのだ。
また…多分彼らは…お前が話したグラット要塞のことがあまりにも衝撃的だったので、
信じたくなかったのだろうと思う。あまりにも恐ろしい事実じゃないか…」

「信じられない!ヘルラックの3大予言について知っている人々が、グラット要塞のことについて信じたくなかったと?恐ろしいから?そのくらいは予想していたはずではないのか?」

ジフリトはため息をはいてエドウィンの目を見ながら話を続けた。

「彼らは…ヘルラックの3大予言について知らない」

「何だって?」

「ヘルラックの3大予言についての記録が閲覧できるのは大神官を10年以上勤めたものだけだ。
実際読んだ者も3名しかいない。国王陛下、大神官、そして俺」

「何?」

「シュタウヘン伯爵とのことがあってから俺もすごく悩んだ。
バルタソン家の長男として、家門を守る為にお前に真実を忘れるように話をすべきかどうか…
司祭としても真実を隠すことが正しことか…
また俺はただ家門を守るといいながら、家族を縛りつけているのではいか…
ようやっと心を決めたのだ。俺がやることは、家族が困る状況に陥った時、困難を共にすることだと・・・」

「兄上…」

「エドウィン。これからお前が正しいと信じている道を進め。俺はいつもお前のそばにいる」

二人はお互いの手を握りあった。二人の目元は赤くなっていた。
二人の姿を見ながら、トリアンは静かに微笑んだ。
その時、いきなりドアをたたく音がした。
返答する間もなく、一人の聖騎士が走りこんできた。

「エドウィン・バルタソン!聖騎士団と国王陛下の命令だ!」

エドウィンは聖騎士の前に膝ついた。

「エドウィン・バルタソンは聖騎士団と国王陛下の命令を従う準備が出来ています」

「現在アルマナ荘園がオークから攻撃されている。
そなたは即刻アルマナ荘園に向かい、荘園を守るよう命じる!」


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