第六章 嵐の前夜

第1話 1/2

この世が憎らしい…
皆消えてしまえ…
悔しい…
腹立つ…
俺がこんな醜い姿で生まれたくて生まれたわけでもないのに…
なぜ生まれただけでこれだけ苦しまなければいけないのか。
なぜ俺がこんなに苦しまなければいけないのか。
俺一人だけ死ぬわけにはいかない。
皆死ななければいけない。
全てが間違っている。
この世は最初から間違っていた。
魂などいらない。
何も感じられなくなっても構わない。
俺に全てを滅させる力さえあれば、他のものなんかどうでもいい。

「真に構わないと思うのか、心が闇に満ちた者よ」

そう、構わない。
この憎らしい世界を滅ぼせるなら。

「この世に何の未練もないようだな。
驚くべきことよ、わらわよりこの世を憎む者が存在するとは」

貴様も俺と同じく、この世界のせいで苦しんでいるのか?
貴様も俺と同じく、この世のせいで死んでいくのか?

「そうとも言える。
わらわがこの世に欲するのは、ただ終焉のみよ。
そなたと同じく…」

いつかこの世も終わるだろう。
始まりがあれば終わりもあるからな。
だが、俺は今すぐにその終焉が来て欲しい!
いつ来るか分からぬ終焉を待つには、俺の怒りは大きすぎるのだ!

「もし誰かがそなたに終焉を告げさせる力を与えるとしたら、そなたは彼に何で報いるか?」


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