第六章 嵐の前夜

第4話 1/2/3

静かに暖炉の前に座り、タバコを喫みながら本を読んでいたグスタフの耳に扉を叩く音が聞こえた。グスタフは私の読書のための大切な時間を邪魔した者は誰であろうが、ただでは済ませないと愚痴をこぼしながら扉を開けた。しかし、彼の不愉快そうな表情は外に立っている訪問客を見た瞬間に驚きと喜びに変わった。

「やあ!久しぶりじゃないか!」

グスタフを訪ねて来た訪問客は被っていた青いマントのフードを取りながら返事をした。

「夜遅くにごめんなさい、グスタフさん。読書を楽しんでらっしゃるはずだったのに…」

「何を言う!君なら何時でも歓迎だ!さあ、入りなさい」

グスタフの手招きに夜遅く訪ねた客は軽い会釈をしてから家の中に入ってきた。彼に続いてマントを被った一人の子供も一緒に入ってくる。

「ガラシオンも一緒に来たのか!親父の後ろに立っていたから気づかなかったな」

訪問客はガラシオンと呼ばれた幼い子供のマントを脱がしてあげながら言った。

「ガラシオン、グスタフさんに挨拶しないと」

「はい、お父さん」

訪問客をお父さんと呼びながら返事したガラシオンは、両手を合わせて頭を下げ、グスタフにおじぎをした。

「こんばんは、グスタフさん。お元気ですか」

「おう!おかげで元気にしているさ。旅行は大変ではなかったか?」

「いいえ、父がいつも面倒を見てくれて旅行は楽しかったです」

グスタフは大声で笑いながらガラシオンの頭を掻き撫でた。

「ガラシオンはこの前会った時より随分と大きくなったな。
もう1年も経ったら俺やロレンゾよりもガラシオンの方が大きくなりそうだな!」

「息子が元気に育つ事こそが親にとって一番の幸せですよ。そうなったら、神に感謝するだけです」

ロレンゾは暖かい目でガラシオンを見つめながら言った。

「さあ、長い旅にお腹も空いているだろうし、簡単に飯でもどうだ。この時間だとどこへ行ってもみんな夢の中にいるだろうから、うちにあるものでご馳走するしかないな。マントは暖炉の横に掛けといてこっちへ来なさい。ビッキーのキノコシチューには到底敵わないがそれなりに美味しいものならいつも保管している」


・次の節に進む
・次の話に進む
・次の章に進む
・前の話に戻る
・前の章に戻る
・目次へ戻る