第七章 破られた時間

第2話 1/2/3/4

ジフリットの声を聞いたバルタソン男爵が振り向いて返事をした。エドウィンとジフリットにグレイアムベルゼン伯爵は挨拶をして、もうすぐ食事の準備ができることを知らせてくれた。

「伯爵、本当にシュタウフェン伯爵の城を攻撃するつもりですか?」

ジフリットは少し心配そうに聞いた。

「私は国王陛下の命令に従うだけです。しかし、まず今夜シュタウフェン伯爵に会って最後の説得をしてみるつもりです」

「シュタウフェン伯爵がはたして我々に会ってくれるのでしょうか?」

「私一人で行くつもりです」

「はい?」

グレイアムベルゼン伯爵の言葉にみんな驚いて開いた口が塞がらなかった。

「同じ伯爵同士とはいえ、今はお互いに剣を向けているのに一人で敵陣に入るというのは、あんまりにも無謀な考えだと思います。司祭である私でも同行した方がよくないでしょうか?」

ジフリットの提案にグレイアムベルゼン伯爵は首を横に振りながら言った。

「シュタウフェン伯爵とは面識がないです。しかし、彼が名誉を大事にし、騎士の本分を分かっている方であるというのはよく知っています。そういう方が武装をせずに話のために訪ねた客を攻撃するはずがありません。ですからそんなに心配なさらなくても大丈夫です」

エドウィンはベルゼン伯爵の自信に感心しながら彼を見つめた。自分を見ているエドウィンに気が付いたのかグレイアムが微笑みながらエドウィンに聞いた。

「何かおっしゃりたい事でも?」

「い、いいえ」

「そういえば、シュタウフェン伯爵も若い頃には聖騎士をなされていたそうです。ですから名誉を重んじ、騎士が剣を抜くべきときも分かっていらっしゃるでしょう」

ジフリットの言葉が終わり次第、隣で待っていた侍従が伯爵に食事の準備が出来ている事を伝えた。


・次の節に進む
・次の話に進む
・次の章に進む
・前の節に戻る
・前の話に戻る
・前の章に戻る
・目次へ戻る