第七章 破られた時間

第8話 1/2/3/4

その上、下位神たちの力は弱まる一方だった。それで、フロックスはだんだんロハの言葉を疑うようになった。ロハン大陸の生き物を全て滅ぼそうとしているのが主神オンの復活とはまったく関係なく、ただロハが自分の気持ちを満足させる為ではないかと。

我々の力が弱くなっている原因は、創造物に力が流れているわけではないということ。他の理由があるのではないかと疑う気持ちはどんどん強くなってしまい、フロックスはロハに直接ぶっつかってみたが何の収穫もなかった。

何が正しくて何が正しくないのか、何が真実で何が嘘なのか。頭の中は疑問と混沌ばかりで、何の結論も出せなかった。アルピアから飛び出して、ロハが破壊しようとしていたハーフリングの村に身を隠した。

もしかして何かしらの解答を得られるのではないかと期待してみたが、答えを得る前に新しい怪我を負って身を隠すしかなかった。フロックスは立ち上がり自分の傷口を見た。かすかな痕跡だけ残して傷はほとんど治っていた。

ラコンにある部屋で治療すれば、数時間で傷の治療だけではなく力も戻るはずだが、アルピアには戻れないから溶岩の火の力で治療するしかなかった。力が完全に戻るのは望めない。フロックスは端に置いてあったローブへ向かって歩き出した。

ローブを取った瞬間、リオナのことを思い出した。銅色のローブはフロックスの髪の毛の色と似合うと、リオナが手作りしてくれたものである。リオナはいつも文句ばかりいう自分にも笑顔で相手にしてくれた。

紫色の瞳と健康そうな茶色の肌、ほっぺたのそばかすがかわいい少女は一回だけ自分の前で涙を見せたことがある。リオナは自分がヒューマンであることをぜんぜん気にしないようにハーフリングと自然に付き合ってはいたが、自分がヒューマンであることを悩んでいたのだった。


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