狂気を運ぶ暴雨

第2話 1/2/3

「この世を滅ぼすためでしょう」

声が聞こえてきた方向へみんな振り向いた。
軍長に質問に答えたのは、ジン・ドシジョだった。
変わり者として知られているジン・ドシジョの話にしたうちをする者もいた。
セリノンはあざ笑いながら質問を返した。

「この世を滅ぼそうとしているといいましたか?」

「そうです」

「その根拠は?」

ジン・ドシジョはセリノンの顔を見つめながら答えた。

「セリノン・ナヤルさん、周りを見てみてください。
隅々までモンスターの手がとどかない場所はありません。
毎日のように我々の命を脅かす存在が生まれています。
これこそ、神が世界を滅ぼそうとしている証拠でなくて何だと思いますか?」

「神は我々がより強くなれるように試練を与えているのだ」

「そうですか?なら神はロハン大陸に生きている全ての命が強くなることを望んでいるようですね。
パルタルカだけではなく、全大陸がモンスターで埋め尽くされているではありませんか」

セリノンもそれ以上は反論が出来ないようだった。
ベイエン・アスペラは、何かを考えている表情で、しばらくは様子を見ることにするといいながら会議を終らせた。
自宅に戻ったセリノンは弟子達に言い放った。

「いきなりなんだ?何があった?」

横になっていたクニスが聞いた。
セリノンは、会議であったことを話した。

「ドシジョの者は師匠も弟子も気に入らん!」

「ジン・ドシジョの弟子?あ…ライの話か。
そういえば、先日ジン・ドシジョがちょっとおかしな話をつぶやいていた」

「何だと?幽霊にでも出会ったか?」

「さあ…そうかも。ライがパルタルカに戻ると言っていたよ」


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