狂気を運ぶ暴雨

第9話 1/2/3

聖なる光に満ちた場所に立っている人々はずいぶん疲れているように見えた。
しかし、お互いに対する信頼感が彼らを支えているのが何故か伝わってきた。

ずっとありがとうと言いたかったわ。今がチャンスですね。
私を信じて一緒に来てくれて本当にありがとう。
遅くならなくてよかった…

誰かの声が耳でなく、胸の奥に聞こえてきた。
光に向かい立っている人々は、背中しか見えなかったが暖かく微笑んでいることが何故か分かった。

「キッシュさん!しっかりしてください!!キッシュさん!」

キッシュは耳の辺りを叩かれている感覚と誰かが呼んでいる声で目が覚めた。
ハエムがこわばった顔で自分の顔を見ながら叫んでいた。
頭に酷い痛みを感じながらキッシュは体を起こした。

「どう…したんですか…?」

「こちらが聞きたいところです。話したいことがあって部屋に入りましたが、一人の侍女が短剣を持っているのが目に入りました。
取り急ぎ短剣が首まで至らないうちに止めることができましたが…一体何が起こっているのでしょう?」

キッシュが周りをみわたすと、自分を殺そうとした侍女が意識を失い、床に倒れていた。

「死にましたか?」

「いいえ。ちょっと気を失っただけです。しかし一体何があったんですか?」


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