狂気を運ぶ暴雨

第9話 1/2/3

「彼女がお茶を持ってきました。多分お茶に薬が入っていたようですね。
お茶を飲んだ後意識がだんだん遠のいてゆく中で、彼女が襲ってくるのをみました…」

「そのタイミングだったんですね。無事で良かったです。しかし、彼女は何故キッシュさんを…」

キッシュは自分を殺そうとした彼女の目が普通ではなかったことを思い出した。

「多分…だれかが彼女を操っていたのだと思います。目が何らかに惚れているようで…普通ではなかったです」

ハエムは眉毛をしかめて、床に倒れている侍女に近づき、彼女の目を開き、瞳を確認した。

「なるほど…瞳が曇っていますね。意識を操られていると思います。あ!これは…」

ハエムが何かを見つけたようで、キッシュも近づいた。

「何かありましたか?」

「この文字について知っていますか?」

ハエムは侍女の首の後ろに刻まれている模様を示しながら言った。
キッシュは首を横に振った。

「これは悪魔の魔法で使われる文字です。悪魔の魔法はよく知られていないが私には悪魔の魔法に夢中になった友人がいて、少しはわかります。
体に悪魔の文字を入れ、人を操る方法は悪魔の手法の中でも一番大きな特徴です」

「誰かが俺の命を狙っているのは確実ですね」

キッシュは後味悪そうに言った。ハエムは侍女から奪った短剣を引き出した。

「まさか、侍女を殺すつもりですか?」

「心配しないでください。悪魔の魔法を破ろうとしています。
このままにしておくと侍女は目が覚めてからも同じく行動しますので、
刻まれている文字を変更しなければなりません」


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