運命の分かれ道

第3話 1/2/3/4/5

侍女を帰らせた後、キッシュとハエムは何も言わなかった。
先に口を開き、沈黙を破ったのはハエムだった。

「ある程度予想はしていたものの…まさかここまでするとは…」

「俺が死ねばドビアンが国王になると思ったのでしょうか」

「そうですね」

「カルバラ大長老がドビアンを国王にさせたい理由はなんでしょうか?
いったいなんの理由でここまでするのでしょうか?」

ハエムは重たいため息をはいた。

「さあ…個人的な意見ですが、ドビアンを国王にさせたいというより、キッシュ様が国王になることに反対しているのではないかと思います」

「なぜですか?なぜそこまで俺に反対するのか、正直わかりません」

「おそらく、私があなたを推薦したからではないですかね。
私とカルバラ大長老はデカンの未来に対して意見が正反対でした」

「これからどうするつもりですか?」

ハエムは椅子から立ち上がりながら答えた。

「彼は国王の次に高い地位の大長老です。しかも彼が侍女を操り、あなたを殺そうとしたというのは、私たちの推測に過ぎません。確実な証拠がない以上は…」

「ではこのまま見逃すってことですか?」

「そうするしかなさそうです。なんの証拠もなく、大長老の罪についての話はできません」


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