第四章 隠された真実

第2話 1/2/3/4

「どんな話しを聞いたとしても私はデル・ラゴスの聖騎士です。私は私の剣に全てをかけて全ヒューマンを守る神ロハへの忠誠を誓いました。
エルフのトリアン・ファベル、デカンのキッシュ。あなた達の助けには深く感謝いたします。
ですが、私はまだあなた達の話を信じることができません。
全ての父なるオンが消えたとか、神が私達を抹殺させようとしているとか、そういう話は聞かなかったことにします。」

彼には信じがたい真実だったんだろう。彼にとって神とは自分の人生を導いてきたもっとも大きなコンパスだったはずだから…
いつか自分が神に裏切られたということを知ったら、彼はどう変わるんだろう?神に助けを求むか?それとも、神に挑むか?
どんな結果がでるかは分からないが、それがいつになっても、なんとなく自分は彼と一緒に行動しているのではないかと思った。
不思議だな。たった1回会っただけなのに…

「偉大なるドラゴンの末裔キッシュ!」

キッシュは自分を呼んでいる声に顔を向けた。

「何を考えているんだ?
何回も呼んでいたのに、聞こえなかったのか?」

「ごめん、ドビアン、別に何もない。」

ドビアンがキッシュの横に座った。

「ふむ… ドビアンが当ててみようか? 
この前の旅でのことを考えていたんじゃないか?」

キッシュは豪傑に笑った。

「貴公には何も隠せないことを忘れていたな。」

「一両年の友達ではないだろう?
兄弟みたいなもんじゃないか、それくらいはすぐ分かるさ。
それに、その旅から帰ってきて以来、キッシュが何か考え事をしているのをよく見かけたので、そう思っただけだよ。何かあったのか?」

ドビアンの心配そうな顔をみたキッシュは、 こうべを巡らして丘の下でデカン族たちが軍事訓練をしているのを眺める。
短い沈黙を破って、キッシュがそれとなく質問を投げた。

「いったい神は何を欲するんだろう。」

ドビアンが意外という顔でキッシュを見つめる。


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