第六章 嵐の前夜

第7話 1/2/3/4

朝露がなくなっていく頃、カエールの目にカイノンの入口を守っている警備兵たちの姿が入って来た。警備兵たちは馬に乗って走ってくるカエールに気づいて手を振りながら声をかけた。

「おい!カエール!久しぶりじゃないか!」

カエールは馬を減速させながら、警備兵たちに近づいた。

「ああ、久しぶりだな。みんな元気だった?」

「そりゃ元気さ。ちょっと…問題があったけど…まあ、それは後で分かるさ。ところで、何の用で帰ってきたんだ?休暇でももらったか?」

「アリエから急いでカイノンに戻ってほしいという手紙があったんだ」

警備兵たちはお互い顔色を伺ってからカエールを見つめながら言った。

「そっか…それより、アリエとの結婚はいつするつもりだ?」
「さあ…多分祭りが終わってからだと思っているが…」
「ふむ、その時にはもう安全かもしれないな」
「どういう意味?」

警備兵たちは慌てて手を振りながら、なんでもないと言った。眉をしかめるカエールを見ながら、警備兵たちはアリエが待っているから早く行ってみろと言って、慌ててカエールのそばから離れた。

カエールは馬首をカイノンの町の方へ向けると、再び走り始めた。盆地に隠れた天然要塞:カイノンは、すぐにその姿を現した。カイノンの入口である短いトンネルを通過すると、空を突き抜けるように伸びている樹木が目の前に広がった。その大きな樹木を中心に、ハーフエルフたちの家々が集まっていた。

カエールを見つけた人たちはうれしそうな顔で挨拶をしてきた。村人の挨拶に笑いながら手を振って答えたカエールは、自分の知らない顔がいくつか増えている事に気がついた。用兵の仕事のため村を離れていて、戻ってくるといつも新しい顔が増えていた。


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