第六章 嵐の前夜

第8話 1/2/3/4

「あれ?大神殿に戻ったのでは?兄上」

家に帰って来たエドウィンは母と話をしているジフリットを見て、嬉しそうな顔で聞いた。

「違う。父上と母上に知らせる事があってちょっと寄っただけだ。今から帰るところだ」

「今度、お父さんが国王陛下の命令を遂行しに行く時にジフリットも同行する事になったらしいわよ」

バルタソン男爵夫人は自分の息子が夫と一緒に行くという事で安堵を感じているようだった。

「よかったら馬車のところまで見送ってもらえるか?坂の上で待っているはずなんだ。君の顔だけ見て帰るのも少し寂しいからさ」

ジフリットは執事にマントを着させてもらいながらエドウィンに言った。エドウィンは喜んでそれに応じ、兄弟一緒に家を出て、馬車が待っている坂に向かった。

「なんで馬車を坂の上に停めてあるんだ?家の前まで来てもらえば楽なのに」

「大神殿の存在を家にまで近づけたくないんだ… 家では君の兄であり、父上と母上の息子でいたいからさ」

エドウィンは理解したかのように頷いた。

「母上には、国王陛下の命令でシュタウフェン伯爵の城を襲いに行くとは言わない事にした。気の弱い母上にはあまりにも衝撃が大きいだろう。同じデル・ラゴスの貴族を処罰するというのは辺境で山賊をやつける事とはまた違うからな」

「父上がもう教えになったのでは…」

「母上に黙っていることは、父上自身が望んでいた事だ。だからエドウィン、君も母上に何か聞かれたら、
小さい辺境の村を助けに行くと言ってくれ。あ、父上には俺から君が同行したがっていると伝えておいた。
父上は喜んで承諾してくださったぞ」


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