第六章 嵐の前夜

第8話 1/2/3/4

「俺も詳しい話は教えてあげられないよ。重要な事は、いまだに大神殿と聖騎士団が君を注視しているという事だ。要するに君は要注意人物になっている。

ヘルラックの予言書にどんな内容が書いてあるかなんか気にするな。俺の話を良く聞け、エドウィン。君がこのまま大神殿と聖騎士団の気に障る事をやり続けると俺にも君の事が守りきれなくなる」

ジフリットが司祭になった理由をよく知っていたエドウィンは、それ以上、意地を貫く事が出来なかった。ヘルラックの予言書に関する好奇心がなくなったわけではなかったが、兄の熱心な話にエドウィンはヘラックの予言書の調査を諦めることにした。

「分かった。兄上のいう通り、それに関した疑問は収める事にする」

ジフリットはエドウィンの肩を軽く叩きながら頷いた。

「うん。よく決心してくれた。俺の言う事を聞いてくれて助かるよ」

ジフリットとエドウィンはまた馬車が待っている坂に向けて歩き始めた。歩いていく間、二人は何も話さなかった。遠くからかすかに馬車に吊り下げている灯りが見え始めた頃、エドウィンが立ち止まってジフリットに声をかけた。

「兄上」

ジフリットも立ち止まってエドウィンを見つめた。

「兄上は俺がグラット要塞で見た事を信じてくれるのか?」

ジフリットはエドウィンの肩に両手を乗せて目を合わせながら強い口調で言った。

「俺は司祭である前に君の兄だ。家族の話を信じないというのはもう家族ではないだろう。誰がなんと言うようが、俺は君の話を信じる」


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