第六章 嵐の前夜

第8話 1/2/3/4

「君には負担になるかもしれないと思って言ってなかったが… 君がグラット要塞から帰ってきて、聖騎士団に報告したグラット要塞壊滅の件は、想像を絶するほど危険なものだった。聖騎士団もまたロハ教団の所属であるから、君の報告は俺のいるアインホルン大神殿にもすぐに飛んできた。

聖騎士団と神殿では、まず君に、君の見たすべてが幻覚であると強引に認めさせたけれど、君は最後まですべてが真実だと主張したわけだ。結局、聖騎士団はグラット要塞壊滅の件に関してこれ以上触れないことを命じて話を終えたわけだが… 

しかし、エドウィン… 最初、聖騎士団と大神殿の勧告を最後まで拒否し続けた君に下された決定は破門だった」

エドウィンは信じられないという表情でジフリットを見つめた。名誉を大切にする聖騎士にとって破門ほど屈辱的なことはなかったのだ。

「気持ちは分かる。しかし、君の話は事実とは信じ難いほど衝撃的だった。だから俺は君の破門を取り消してもらうために、俺の司祭職をかけて、大司祭であるホライセン様を説得した。

幸い、普段俺の事を可愛がってくださった大司祭ホライセン様は俺の熱心な話を聞いてくださって、聖騎士団と大神殿を説得し、君の破門を取り消してくださった。

だから君は、他国との国境辺りの動向を調べるという任務を請ける事で破門を免れる事ができたのさ。世間にはグラット要塞壊滅の件が

“モンスターによって部隊が襲撃され、聖騎士たちは壮烈に戦って戦死した”と知られているのは君も知っているだろう」

「大神殿と聖騎士団は、俺の話なんて信じないと言いながら、どうして俺が目撃したことに対してそんなに気にしているんだ?」



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