第八章 夢へと繋がる鍵

第3話 1/2/3/4

グレイアムは窓の外に設置されている死刑場を見ていた。
乾いた丸太がきちんと積まれていて、真ん中には木の十字架がそびえていた。シュタウフェン伯爵は火刑されることになっていたのだ。空が黒い雲で満ちていて太陽がどこにあるか分からないが、だんだん暗くなっているのは分かる。たぶんそろそろ日が暮れるだろう。

「大丈夫ですか?」

振り向いてみたら、バルタソン伯爵が心配そうな顔で見ていた。

「はい、大丈夫です。火刑の準備は順調のようですね」

「雨さえ降らなければ、彼の苦痛も最大限減らすことが出来るでしょう」

また外に視線を移しながらグレイアムが言った。

「シュタウフェン伯爵は兵士達が自分の命令に従って城を守備したといいました。それで、伯爵の兵士達は罪を問わず、アインホルン警備隊に所属させるようにしました」

「そうですか…」

バルタソン伯爵が頷いた。その時一人の兵士が部屋に入ってきて準備が終わったことを報告した。グレイアムとバルタソン伯爵は火刑が行われる城の前に向かった。

いつの間にか暗くなっていた。真っ暗になっている空の下、火刑場の周りに立っている兵士はみんな手に松明を持っていた。司祭服に着替えたジフリットは祈りを捧げている。二人の兵士が囚人服に着替えたシュタウフェン伯爵の両手をつかんで歩いてきた。自分を燃やす火刑場の丸太を見るシュタウフェン伯爵の顔には安らぎが浮かんでいた。彼が平穏な顔をしているのは自分が死ぬことで息子が生き残ることが出来ると思っているからだろう。


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