第八章 夢へと繋がる鍵

第3話 1/2/3/4

最初、グレイアム・ベルゼン伯爵から話を聞いた時にはバルタソン伯爵も迷っていた。
国王陛下の命令だと分かっていても自分も二人の息子の父親として、シュタウフェン伯爵の心が十分分かったからだ。

「バルタソン伯爵が迷う事も十分分かります。しかし今、デル・ラゴスで最も重要なのは国王陛下を中心に一つになることです。外からの国家の運命を脅す存在がだんだん増えている中で、こんな事件が発生して、民心が乱れています。公的な任務に感情を挟んではいけません。デル・ラゴスの繁栄のために働くべきだと思います」

まだ若いのにグレイアム伯爵ははっきりした信念を表した。結局、バルタソン伯爵もグレイアムの情熱に負けて今回の任務に同意した。ジフリットは自分の決定に何も言わずに従ってくれた。バルタソン伯爵はシュタウフェン伯爵に申し訳ない気持ちでそれ以上見ることができず目をそらした。
バルタソン伯爵の視界にエドウィンが入った。彼はバルタソン伯爵から少し離れた場所で心配そうな表情で中央の十字架を見つめていた。マントで体に巻いている包帯を隠しているエドウィンの目には後悔が浮かんでいた。

最初、ジフリットから話を聞いた時、バルタソン伯爵は反対した。エドウィンはまだ耐えられないと思っていた。正義に疑いを持ってしまうこともあると思ったのだ。グラット要塞についてエドウィンが書いた報告書は極秘であるが、ジフリットから話を聞いていたのだ。息子を信じていないわけではなかったが、エドウィンが目撃した内容はあまりにも衝撃的だったからだ。何より心配なのは、グラット要塞の事件の真偽ではない。息子が受けた混乱が心配だった。ジフリットの話を聞いた後も、エドウィンと直接グラット要塞について話した事はなかったが、それ以来、息子が混乱しているのは分かった。だから今回の攻城戦が彼の混乱をより大きなものにさせるのではないかと心配したのだ。

ジフリットは、エドウィンはもう子供ではなく、強い精神の持ち主だから十分くぐりぬけると信じていた。
しかし、今のエドウィンはバルタソン伯爵が心配していたその目をしている。
バルタソン伯爵はため息をついた。


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