第六章 嵐の前夜

第10話 1/2/3/4/5/6/7/8

自分の思うようにいかず、腹が立ったようにペルソナの攻撃はさらに乱暴になり、その度にオルネラのお母さんはギリギリのところで防いでいた。トリアンは自分がこの状況を覗いているだけであると言う事を忘れて、彼女の前に立ってペルソナの攻撃を防ごうとした。

しかし、すぐに自分が見ているのがオルネラの過去であると言う事を思い出した。そして、同時にオルネラのお母さんがペルソナに対して決して攻撃をせず、防御だけをしていると言う事に気が付いた。

ペルソナを攻撃すれば、オルネラが逃げられる時間を稼げるかもしれないのに、彼女はまるで自分が死ぬ事になってもペルソナには怪我はさせないと決めたかのように、光のシールドでペルソナの攻撃を防ぐだけだった。

トリアンは親子を攻撃しているペルソナをよく観察した。顔を隠している白い仮面には血で書いたような真っ赤な唇が書いてあって、黒色で複雑な文様が書き込まれていた。仮面には二つ、目の所が空いていたが、瞳のような物は見えず、深い暗闇とその中に浮かんでいる青い玉があるだけだった。

トリアンはアカデミーで習ったペルソナの変異過程を思い出した。レゲンがモンスターに侵略され、多くのエルフたちがヴェーナへ移住してきた頃から、急に疫病が伝染し始めた。長い時間が経ってから人々はこの疫病を‘仮面の呪い’と呼んだが、それは疫病にかかった人は仮面を被ったモンスターであるペルソナに変わるか、命を落としてしまうからであった。

‘仮面の呪い’にかかったエルフは2、3日間すさまじい高熱に苦しみ、その苦痛に耐えきれず、ほとんどの患者は死んでしまう。しかし、高熱の苦痛を耐え、生き残っても完治するわけではなかった。

高熱の苦痛で生き残った人々は、10日間の変異過程を通じてペルソナというモンスターになってしまうからであった。‘仮面の呪い’と言う疫病が残した歴史的な痕跡は多かった。


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