第六章 嵐の前夜

第10話 1/2/3/4/5/6/7/8

尽きぬ悲しみと言う地名は‘仮面の呪い’が残した代表的な痕跡であった。当時、人々には疫病を完治できる方法を見つけられず、疫病はその勢いを加速させていた。結局、‘仮面の呪い’にかかった患者たちはライネル川向こうの夕暮れの監視所に捨てられるようになった。

疫病の伝染を防ぐ方法はそれだけだった。家族にも選択の余地はなかった。皆、大きな悲しみで涙すら流す事が出来なかった。‘仮面の呪い’がヴェーナから消えた後、遺族達は患者を捨てていた丘に集まって、彼らの霊魂を慰めるために‘霊魂の飛び石’を作って空中に浮かべた。

その時から人々はその場所を‘尽きぬ悲しみ’と呼ぶようになった。苦しい思いだけを残した、この疫病を完治する治癒魔法はいまだにアカデミーの大きな課題として残っている。アカデミー総長であるベラルミノがその分野の権威者として長年、研究に邁進した結果、明らかになったのは、‘仮面の呪い’でペルソナになったエルフに傷を付けられると、同じく‘仮面の呪い’にかかってしまうと言う事だった。

トリアンはベラルミノの授業を通じて、疫病にかかって高熱の苦痛を耐えた患者がどんな過程でペルソナになるのか習う事が出来た。

「2、3日間、魂まで燃やしてしまいそうな高熱を耐えると患者はしばらく完治したかのように見えます。しかし、5日後、患者は最初の変異過程に入る事になります。最初、ペルソナになったエルフは1時間ぐらい自分の意識を失い、モンスターになって暴れだします。

1時間が経つとまたエルフの姿に戻ります。自分がペルソナになっていた間の記憶は残っていません。その後も1日1回、患者はペルソナに変わります。ペルソナに変わっている時間も急激に増える事になります。結局、初変異から5日が立つと完全なるペルソナになってしまいます。

ペルソナの変異過程で患者が何度目の変異過程であるかを知りたいのであれば、ペルソナに変わっている時、仮面の中に隠れている瞳の色を観察するといいです。1日目は黄色、2日目は緑、3日目は青、4日目は赤、5日目は紫色の瞳をしています。完全なるペルソナになってしまうと仮面の瞳の所に見えるのは何もありません。見えるのはただ暗黒だけです・・・」


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