第六章 嵐の前夜

第9話 1/2/3/4/5/6

「グスタフ、長老というのはな、一族の中でもっともやる事のない人がやればいいもんだ。俺が死んだとしても一族に何か問題が起こったりはしない。俺が死んだら一族の中で、また新しい長老を選べばいいだけの話だ。心配は要らん。気難しい年寄りたちと一日中、顔合わせているのも飽きてきたところだ。この際、休憩がてら旅行にでも行っていると思ってくれ。

そして・・・今回の旅は必ずワシが直接行かなければならんのだ。ワシはもうアクセサリーの宝石細工は辞めるつもりだ。ワシが作ったアクセサリーを好んでくれる人は多いが、いい品が出来れば出来るほど心の中では嫌な気分になった。

そうしているうちに、この前あるダークエルフの貴族の刀の柄を作る話が飛び込んできてな。やっと気付けたんだよ。ワシにはやっぱり武器に飾りを付ける宝石細工が向いていると。だから、この注文を最後に、作ったアクセサリーを渡しながら、彼らに伝えてくるつもりだ」

ベロベロの決心が固いという事を分かったグスタフは、それ以上、旅をやめろとは言えなかった。しかし、グスタフの不安は的中してしまった。

旅立って2ヶ月が経った頃、ベロベロが死んだという手紙が届いたのだ。手紙を送ったのはランベックにいる大長老イゴールだった。元・月見キノコ長老で、大長老ラティの死で大長老の座に昇った彼は、グスタフとベロベロが親友である事を知っていたため、誰よりも早くグスタフにその話を伝えてくれたのだった。

手紙には、ダークエルフの警備兵たちが森の中からハーフリングの物に見える破れた衣服とカバンを持ってきたが、それがベロベロの物であったと書いてあった。グスタフは手紙を読むや否や、ランベックへ向かった。


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